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四季の花ものがたり

木瓜(ボケ)

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うららかな陽射しに春の訪れを感じたかと思うと、突然の寒の戻りなど、 春先の変わりやすい気候に一喜一憂するこの頃。
それでも植物たちは日々確実にその芽を伸ばし、 蕾を膨らませ、花を咲かせる準備をしていたようです。
いつの間にか河原のネコヤナギ、道端のタンポポやオオイヌノフグリが咲き、 梅や桜、庭の水仙が辺りに芳しい香りをただよわせています。

そんな春の足音が聞こえ始める頃、「一足お先に」と言わんばかりに
葉が出るよりも先に枝いっぱいに付けた蕾をふくらませた木瓜も、
すでに次々とその丸い五つの花弁を開いています。
よく見ると椿を小さくしたような形の花が、ごつごつした棘のある枝に まるでかんざしのように凛と咲いています。

その可憐な姿からは意外な感じのするこの名の由来は、 実が瓜に似ていることから、
「木瓜(もけ)」または「木瓜(ぼっくわ)」 と呼ばれたものが「ぼけ」に転訛したと言われています。 バラ科ボケ属の落葉低木で、学名はChaenomeles speciosa。
「Chaenomeles(カエノメレス)」は、ギリシャ語の「chaino(開ける)」と「melon(リンゴ)」が語源で
意味は「裂けたりんご」。「speciosa」は、「美しい、華やか」の意味。
「リンゴが開いたような美しい花」のイメージでしょうか。
原産国の中国では、「放春花」の名で親しまれているそうです。
まだ北風の冷たい頃から咲き始めるこの花を「春をいち早く告げる花」と名付けたのかもしれません。
春と一緒に「fortune(フォーチュン=幸運)」も運んでくれそうな響きですね。

中国で、その実が脚気や神経痛、腎臓病などの薬として利用されていた木瓜が 日本に渡来したのは平安時代。 当初は日本でも薬用植物として利用されていたと考えられており、
その名残が今でも果実を漬け込んだ「ボケ酒」として伝わっています。
それから約700年後の江戸時代になると、木瓜が園芸植物として栽培されるようになりました。 日本にも原産の「草木瓜(クサボケ)」があり、それらと中国産のものを交配して作り出された新品種が、 盆栽や庭木として珍重されるようになったのです。

木瓜の花の色は、紅色の「緋木瓜(ヒボケ)」、白い「白木瓜(シロボケ)」、紅白の混じった「更紗木瓜(サラサボケ)」など豊富で、品種も現在では150から200種類も存在するといわれています。晩秋から咲き始める「寒木瓜(カンボケ)」や、四季咲きの「長春木瓜(チョウシュンボケ)」など、四季を通して目にすることもあります。

夏目漱石の小説「草枕」の主人公の一節に、 「木瓜は面白い花である。枝は頑固で、かつて曲がった事がない。そんなら真直かと云うと、けっして真直でもない。・・・(中略)そこへ紅だか白だか要領を得ぬ花が安閑と咲く。柔らかい葉さえちらちら着ける。評して見ると木瓜は花のうちで、愚かにして悟ったものであろう。世間には拙を守ると云う人がある。この人が来世に生まれ変るときっと木瓜になる。余も木瓜になりたい。」という台詞があります。
また漱石は“木瓜咲くや 漱石拙を 守るべく”(漱石全集)と詠んでいます。
漱石にとって「木瓜になりたい」と言わしめた「木瓜」とは、いったいどんなものだったのでしょうか。

他にも
 “初旅や 木瓜もうれしき 物の数” 正岡子規「寒山落木 二」
 “木瓜の花こぼれし如く低う咲く”  大谷句仏「我は我」
 “紬着る人見送るや木瓜の花”  許六「住吉物語」
など、木瓜を題材に詠まれた俳句は数多くあります。
それほどに木瓜は昔から身近な植物として親しまれてきたようです。

花言葉は、「先駆者」、「指導者」、「妖精の輝き」、「早熟」、「平凡」など。