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ニンニクの化学

臭いの素の成分とこれに反応する酵素の存在場所が異なる

臭いの素となるアリインやメチインは「葉肉貯蔵細胞の細胞質ゾル」と呼ばれる場所に、そして分解する酵素アリイナーゼ(alliinase)は「維管束鞘細胞の液胞」と呼ばれる場所に存在します。ではなぜ別々の場所に存在するのでしょうか。植物は移動することができず、常に動物や虫、微生物からの危険にさらされているため、何らかの方法で身を守る必要性があります。アリイナーゼの作用によりできる最初の臭い物質アリシンは、強い抗菌作用や酵素阻害活性を持っています。また、生ニンニクをかじるとわかる様に、痛みにも似た強い刺激を臭いと共に感じることができます。この刺激もアリシンによるもので、これらアリシンの作用を外敵の攻撃から身を守る方法として用いていると考えられます。ここでアリシンは、極めて反応性が高い化合物であるため長く保存することができません。また、強い抗菌作用や酵素阻害活性を持っていることから、常に細胞の中に存在するとニンニク自身にとって毒として働くことにもなります。そこで、外敵から傷つけられたとき、すぐさま必要に応じて作り出せるよう、別々の場所に局在していると考えられます。

水溶性イオウ化合物は酵素反応によりゆっくりと作られます

ニンニク臭を有する「揮発性の有機イオウ化合物」以外に、水溶性の化合物の生成にも酵素の働きが関与しています。S−アリルシステイン(SAC)はイオウ原子を含む無臭のアミノ酸で、酵素反応によってできる代表的な水溶性化合物です。SACは生ニンニク中ではガンマ−グルタミル−S−アリルシステインというペプチド化合物として貯蔵され、生ニンニクを切ったり、すりおろしたり、つぶしたとき、または熟成したときに、生ニンニクに存在するガンマグルタミルトランスペプチダーゼという酵素により、ゆっくりと生成してきます。SACと同様の酵素反応によってできる水溶性の化合物には、S-メチルシステイン、S-1-プロペニルシステインがあります。これらの水溶性成分は、原料となる1分子のペプチド化合物から1分子が酵素によって生成されます。また、生成過程は明きらかとはなっていませんが、S-アリルメルカプトシステイン、S-メチルメルカプトシステインといったイオウ原子を2つ含むアミノ酸もニンニクから生成する特徴的な水溶性の化合物です。