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ニンニクの化学

サポニン、有機セレニウム化合物や多糖類、糖タンパク質

ニンニクはサポニンを含有しており、10余りのステロイドサポニンが発見され、植物の葉部、リン片部、根部で含まれる種類に違いがあることが報告されています。生ニンニクにはフロスタノールサポニンの仲間が含有されていますが、生ニンニクを切ったり、すりおろしたり、つぶしたときに生ニンニクに存在するグリコシダーゼという酵素により、ゆっくりとスピロスタノールサポニンの仲間が生成してきます。

ここで面白いことに、生ニンニクのフロスタノールサポニンには、顕著な生理活性作用は認められていませんが、酵素によって変化したスピロスタノールサポニンにはいくつかの薬理活性が報告されています。また、ニンニクサポニンのサポゲニンであるβ-クロロゲニンは、ニンニク(Allium sativum L.)と他の類似植物とを区別するための有用な指標物質です。例えば、形状が類似していることからよく混同され、無臭ニンニクと呼ばれているエレファントガーリック(elephant garlic、 Allium ampeloprasum L.)とニンニクを、粉末化加工などされた後でもβークロロゲニンの有無を指標としてTLC(薄層クロマトグラフ)法で見分けることができます。この見分ける方法は、ワクナガで開発され、USP(米国薬局方)の試験法としても採用されています。

生ニンニクは、生体必須微量金属であるセレニウムを、セレノシステイン、Se-メチルセレノシステイン、セレノメチオニンという、主にセレノシステイン誘導体からなる有機化合物として持っています。セレニウムはイオウと同じ族の原子であるため、土壌中のセレニウムはイオウと同じ経路でニンニクに取り込まれると考えられます。ここで興味深いことに、ニンニクはアリル基を有するイオウ化合物を特徴的成分として含んでいますが、これに相当するセレニウム化合物はニンニクから未だ見つかっていません。セレニウムは解毒酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素の活性中心を構成する微量金属として、人の体の中で重要な役割を担っています。

ニンニクには、上に述べた以外にも、フルクタン、糖タンパク成分(ニンニクレクチン)、スコルジニン、フラボノイド類、ステロール類、アリキシン、といった多様な成分が報告されています。フルクタンはニンニクの乾燥物換算では、約80%余りを占めるニンニク中の主要な成分です。フルクタンは、ショ糖を末端としてフルクトースが、その1位と2位で結合した水溶性多糖です。ヒトはこの多糖を消化する酵素を持っていませんが、腸内細菌のビフィズス菌などはこの多糖を利用することができます。 ニンニクから免疫細胞に関る活性をもつ糖タンパク質が存在している報告があります。この糖蛋白質は分子量が約12500と13000の2つのサブユニットから構成されており、その生化学的な性質からレクチンという種類に分類される物質であることがわかっています。 スコルジニンは、1969年に報告され、ニンニクの示す生物活性において重要な役割を担っているとされています。この化合物を含むとされる画分からグルクロン酸、ニコチン酸アミド、タウリン、システイン、クレアチンなど生物にとって重要な化合物が分離され、構造推定されました。そのユニークな構造や生物活性の報告から、極めて興味深い化合物とされています。しかしながら、現時点においてもその化合物そのものを分離、構造確認したという報告はなく、また、正確な含量確認には至っていません。 ニンニクのフラボノイド類やステロール類に関しては、ニンニクを特徴付ける報告はなく、含量は何れも20μg/gに満たない程度です。既知の化合物のみで、含量も少ないことから報告は多くありません。 植物は外部から何らかのストレスを受けるとストレス化合物を造ることが知られています。ストレス化合物の中には、外敵から身を守るために生成するファイトアレキシンという種類の化合物があります。アリキシンは、ニンニクから初めて発見されたファイトアレキシンで、植物由来の化合物としては珍しいn-ペンチル基を有しています。この化合物には、いくつかのユニークな生物活性の報告があります。