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ニンニクの植物学

ニンニクの故郷はどこ?

この興味ある疑問、ニンニクの発祥の地を特定する試みが最新の科学技術を用いて行われています。
このような研究では、世界各国で収集したニンニクについて、その酵素の性質や遺伝子の違いを比較して、それぞれの関係を調べるという手法が用いられています。その一例として、世界各国で栽培されているニンニクのミトコンドリア遺伝子を比較して相互の関係を調べた例を示しましょう。
この研究では、世界各国から51種のニンニクが収集され、RFLP(制限酵素断片長多型)解析という手法が用いられています。この解析によって、ニンニクは5つのグループに分類され、それぞれ(1)アジア型、(2)ロシア型、(3)ヨーロッパI型、(4)ヨーロッパII 型、(5)ユーゴスラビア型と名付けられました。

ニンニクの採取地とそのRFLPパターンを示した世界地図を見てください。すぐに、興味ある事実に気付くでしょう。つまり、中国、タイ、日本などアジア地域で栽培されているニンニクはすべて同じパターンを示し、ヨーロッパで栽培されているニンニクとはまったく異なるということです。また、アルマータやタシケントといった中央アジア地域で栽培されているニンニクは多様で、観察された5つのパターンのうち代表的なパターンを示すニンニクが混在しています。
アメリカ大陸などいわゆる新大陸で採取されたニンニクは、種々のパターンを示します。 さらに興味深いことに、最近、中央アジア地域で採取されたニンニクの中に種子を作る能力を維持した系統が発見されています。
このように種子を作る能力を有するニンニクは「稔性(ねんせい)ニンニク」 と呼ばれ、地図上のパターンでは★をつけて示されています。
稔性ニンニクは、アジア型とロシア型に分類されることがわかります。

このような結果を総合すると、ニンニクの故郷は中央アジア地域で、元来は種をつける能力を持ち、自然交雑によって種々の性質を持った多様なニンニクが存在していたことが想像されます。その後、アジア地域とヨーロッパ地域の2つのルートで伝播され、近年になって、ヨーロッパとアジア地域から新大陸にニンニクがもたらされたと考えられます。
アジア地域とヨーロッパ地域にもたらされたニンニクのパターンがまったく異なる理由として、元々別個の系統が伝播されたことによるのか、あるいは、栽培されて行く過程でその地域の環境に適応する能力の高い系統が選抜された結果によるのかはわかりませんが、ヨーロッパ地域のニンニクが複数のパターンを示すという事実は、選抜による可能性を示しているとも思われます。