by Chiemi Suzuki(湧永製薬 学術部)
現在、日本人の5人に1人が糖尿病ないしは糖尿病の予備軍であるといわれています。最近の研究では、食後急激に血糖値が上がる“食後高血糖”が様々な疾患との関連が立証されてきています。今回は、そんな食後高血糖について理解を深め、予防や症状緩和に役立てましょう。
そもそも高血糖とは?◆
血液中のブドウ糖のことを意味します。ブドウ糖はエネルギー源として利用されているため、血液中のブドウ糖(血糖)は一定の濃度に保たれています。そのコントロールを行っているインスリンが不足したり、あるいはインスリンの働きが弱くなったりすると、血液中に多量の糖が存在すること、すなわち高血糖になってしまいます。この高血糖状態が続いてしまうとやがては糖尿病を発症します。進行すると血管壁がもろくなり動脈硬化が進行して血管に悪影響があります。
◆食後高血糖とは?◆
食事をすると、だれでも血糖値が上昇します。インスリンの働きが正常だと上昇の程度はゆるやかで、まもなく正常値(110mg/dl未満)に戻ります。しかし、インスリンの分泌やはたらきに異常があると、血糖値が急上昇し、その状態が長く続きます。目安として、食後2時間たったときの血糖値が140mg/dlを超える場合、食後高血糖とされます。正常値に戻るなら良いのでは、と思われるかもしれません。しかし、問題は、食事のたびに異常な高血糖を示し、そうした状態をくり返すことにあります。
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◆食後高血糖は血管を傷つけている◆
最近の研究では、食後に異常に血糖値が上昇してしまう食後高血糖は、活性酸素の発生を促し、血管に酸化ストレスを与え、動脈硬化を促進することもわかってきました。その結果、糖尿病の合併症や、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなると考えられています。
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