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夏バテと免疫力 〜暑い夏こそ免疫力が鍛えられる〜
by Osamu Imada, DVM, Ph.D. (湧永製薬 学術部)

tired_man.jpg  「立秋」も過ぎそろそろ暑さも落ち着く頃か、と暦に書かれた二十四節気(にじゅうしせっき)*を口にしてみる。現実は「処暑(しょしょ)」とは程遠い、「残暑突入!」のモードに切り替わっただけのこと。これからが、夏バテ本番。ところが、病気にならない体は夏につくられるというから、ここはひとつ残暑をうまく乗り切ることをお勧めします。

 そこで今回は「夏バテと免疫力」についてお話しましょう。

*二十四節気(にじゅうしせっき): 1太陽年を日数や太陽の黄道上の視位置によって24等分し、その分割点を含む日に季節を表す名称を付したもの。


◆夏バテ
 「夏バテ」とは、日本特有の高温・多湿の夏の気候に負けて体力消耗をきたし、体がだるいなどの疲労・倦怠感、食欲不振、体の不調、体力低下、思考力の減退や判断力の鈍化などがあらわれる状態をいいます。

 今年の夏は例年以上の猛暑ですが、東京での過去30年間の8月の最高気温の平均値が30.8℃、相対湿度の平均値は75%と、これはまさに熱帯の気候です。たしかに、暑くて眠れない夜のことを「熱帯夜」といいますが。

 気温が28℃を超えると、たとえ安静にしていても私たちの体の汗腺は自動的に活動をはじめます。これは、体温が36〜37℃で体内の代謝がもっとも円滑におこなわれるために常にこの体温を保とうとする調節機能を備えているからです。調節の中枢は種々の自律神経機能を調節、統合する脳の視床下部というところにあります。

  汗が蒸発するときに奪われる熱のことを「気化熱」といいますが、これにより体温の上昇が抑えられます。1gの汗を気化すると0.6kcalの熱量になります。一般的に、夏場はおとなで1日3〜4リットルもの大量の汗をかきます。日頃、汗をほとんどかかないという人がいますが、この1リットルの差にあるかもしれません。

 まったく汗をかかなかったとおもうときでさえ、毎日平均500gの目に見えない汗を気化しています。この見えない汗を「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」といい、基礎代謝の中で約300kcalを消費します。発汗という汗腺のエネルギー消費と合わせ、汗をかくことがどれほど体力の消耗につながるかお分かりいただけるとおもいます。
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 発汗は皮膚血管の拡張に伴いますが、逆に胃の血流量は減少します。その結果、胃液の分泌減少や胃の運動低下など、胃の機能低下が起こります。その上、水分や冷たいものを摂り過ぎると胃液も薄まります。このようになると、食欲の減少だけでなく、消化力や殺菌力の低下で下痢や食中毒などを起こし、栄養不足になってしまいます。その結果、なかでもビタミンB群の不足による老廃物や疲労物質の蓄積と相まって、また、冷房過多や睡眠不足からくる自律神経系の乱れなども手伝って、「夏バテ」になります。

 汗の成分はその99.5%が水分で、残りはビタミンやミネラルです。発汗の程度に応じた適度の水分補給と同時に、不足しがちなビタミンB群やナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分などのミネラル補給も忘れてはいけません。

 大量の発汗で体から水分が失われるといわゆる脱水状態になり、見かけ上、血液は濃くなりますが、鉄分などミネラルの不足で貧血症状を起こすこともあります。とりわけ、お年寄りのかたは、若い人に比べ1〜2割、体の中の水分が少ない傾向にありますので、この脱水により脳梗塞を起こしやすくなります。夏場の脱水による高齢者死亡件数も80歳代をピークに急激に増えるという報告もあります。

 ちなみに、この時期は、お年寄りのかたでなくても、とくにゴルフなどのアウトドアスポーツをされるかたは年齢を問わず注意が必要です。炎天下での脱水予防に水分補給は必要不可欠ですが、プレイ中や終了後のビールなどの飲酒が原因で心筋梗塞を起こす危険性のあることが報告されています。これは、日頃からストレスを受けやすい立場の管理職や会社経営、自営業の方に多く、加えて喫煙者が大半だそうです。その上、心筋梗塞に見舞われた人たちの心臓の冠状動脈には事故に先行する高度の動脈硬化性病変がみられていないということも驚きです。

 いずれにしましても、夏バテによる体力の低下やビタミン、ミネラルの不足は免疫力まで下げてしまいます。

◆免疫力は日本の夏に培われる
 この冬に風邪をひくかどうかは、これからの残暑をどう乗り切るかにもかかっています。それは、免疫力が夏の間に高まり、秋から冬まで持続するからです。

 免疫とは病気から身を守るための防御システムで、その免疫の強さをあらわすことばが免疫力です。免疫は、主に、血液中の白血球が中心的な役割を担っており、その数や働きの強さは自律神経の支配を受けていることが最近の研究でわかってきました。これが「白血球の自律神経支配の法則」です。

 日本の夏の気候は、気温が高く気圧が低い傾向にありますが、このような気候条件のもとでは内臓の働きを調節する副交感神経系が優位になります。その結果、白血球の中のリンパ球という細胞のはたらきが活発になります。元気になったリンパ球のいわゆる元気力は3〜6ヶ月も持続することから、秋から冬にかけても「免疫元気」の状態が維持できることになります。リンパ球は顆粒球という別の白血球の仲間たちと協力して細菌やウイルスなどの外敵を攻撃してくれます。つまり、生活習慣を改善し、日本の残暑でリンパ球を鍛えると年齢とともに衰える免疫力を少しでも強化できるかもしれません。

◆抗疲労と免疫力アップ:一挙両得7つのポイント
 今からでも遅くありません。秋口に夏の疲労の顔を覗かせないために、夏バテ解消と免疫力アップを目指して、あなたの生活習慣を少しだけ見直してみませんか。

  
  1. ?栄養を十分に。胃腸機能を保つ。(栄養不足にならないために、でも腹6分目を目標に)
  2. ?十分な睡眠。心にゆとりを!(副交感神経系のはたらきを優位に)
  3. ?ぬるめのお湯に5〜6分入って、さっとあがる(これがほんとの暑気払い)
  4. ?熱中症・冷房病に気をつけて(体力と自律神経のバランスの維持に)
  5. ?水分は適度に補給。(脱水状態だけにはならないように)
  6. ?軽い運動に挑戦!(基礎代謝を高めて持続的な体力を)
  7. ?滋養強壮剤の活用(疲労回復と体力増強に)
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 免疫力は心の持ち方でも大きく左右されます。
 そうです。「笑いが免疫力をアップする」ことはよく知られています。「微笑み」だけでも、さらには「作り笑い」でも、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)というリンパ球のはたらきが高まることが最近の医学研究で証明されています。
 これを機に、ぜひ、食卓に「笑いの一皿」もお忘れなく!

 さて今回の「夏ばてと免疫力」の話はいかがでしたか?夏ばてが気になる方は、直接お近くのクスリ屋さんに健康相談してみませんか?
湧永製薬は「日専同」を応援しています!