


紫外線には「UV−A」「UV−B」「UV−C」の3種類の波長があります。C波は殺菌灯などにも使用されていて、身体への毒性が強いのですが波長が短いため、地上には届きません。中間波長のB波は日焼けを起こす原因で表皮まで届きますが、雲やガラスを通り抜けないため、曇りの日や室内にいるときはB波の影響を受けることはほとんどありません。最も波長の長いA波は室内まで届き、表皮だけでなく肌の奥深く真皮まで到達します。A波の影響はシワやたるみなど皮膚の老化に一番関係が深いと言われています。

通常、皮膚も年をとるにつれて老化していきますが、紫外線を浴びる機会の多い手や顔などは浴びていない部分よりもシワやシミが多く、紫外線を長時間浴びることにより進行する老化を「光老化」と呼びます。「光老化」のプロセスは2つあり、ひとつは紫外線に当たることで活性酸素が出て細胞に傷を与えて壊す場合。もうひとつは、紫外線により細胞が直接ダメージを受けてしまい、修復を繰り返すうちに起こるダメージです。
本来、私たちの体には紫外線に対抗する機能「メラニン」が備わっています。「メラニン」は紫外線を浴びることで増えて、フィルターの役割を果たしてくれます。増えた「メラニン」は、肌のターンオーバーにより角質細胞と一緒にはがれおちて肌の色も元に戻ります。しかし長い期間大量の紫外線を浴びてしまうと、細胞に傷をつけてしまうので、「メラニン」が上手に機能しなくなります。その結果、肌に「メラニン」の色素が残り「シミ」の原因となるのです。
また、中高年になると気になるシワですが、これには皮膚のハリを保つために肌の奥深く真皮にあるコラーゲンが大きく関係しています。コラーゲンは全部で19種類あり、皮膚だけでなく骨や軟骨にも存在しています。皮膚では真皮にコラーゲン線維が存在し、肌のハリと弾力を保っています。しかし、紫外線を浴び続けることで活性酸素が発生し、コラーゲン線維にもダメージを与えます。この結果弾力が失われ、シワやたるみになって現れるのです。

「光老化」による肌の老化を防ぐ一番の方法は、日焼けしないことです。もっとも手軽な方法は、日焼け止めを塗ること。「冬は日焼けしない」と思って無防備な状態で外出される方もいますが、曇っていても室内にいても日焼けはします。冬場はそんなに屋外に出ないという方も、肌への負担が少ないSPF値の低い日焼け止めを利用するといいでしょう。意外と忘れてしまいがちな耳や首回り、手も塗るように心がけましょう。ただし、日焼け止めは肌が乾燥しやすくなるので、たっぷりと保湿をするようにしてください。特に夏場は汗で日焼け止めの効果が薄れますので、こまめに塗りなおすことも重要です。日焼け止めが肌に合わない方は、帽子や日傘を有効活用してください。
また、紫外線によって発生する活性酸素を除去するのも効果的です。活性酸素をブロックする抗酸化作用を含むビタミンAやC、E、βカロチンを含む食材をバランスよく食べることも大切なポイントです。

紫外線対策をして紫外線量を減らすことは可能ですが、浴びてしまった場合はアフターケアが大切になります。人により肌のダメージ度合いは異なりますが、日焼けした場合は「冷やす」「保湿する」「ビタミンを摂取する」を行いましょう。
日焼けをすると肌はほてった状態になるので、まずは濡れたタオルなどで冷やします。次に失われた水分を補うためにローションやクリームでたっぷりと保湿します。最後はシミなどを残さないようにするために、活性酸素を除去するビタミンCなどを積極的にとってください。ただし、ビタミンCは水溶性なのでサプリメントなどを上手に活用するといいでしょう。
紫外線に当たらないと骨が弱くなると思う方もいますが、カルシウムの吸収を促すビタミンDは、日常生活のなかで浴びる紫外線で充分摂取できています。今は食生活も充実しているので、ビタミンDの不足を気にする必要はありません。
紫外線はしっかりと対策方法を身につければ、決して悪いことばかりではありません。私たちの体は太陽にあたることで体内時計が正確に働き、健康的に生活できます。天気のよい日の散歩などは気分転換にもいいですし、ストレス解消にぴったりです。紫外線を恐れるあまり、家のなかに閉じこもるのはかえって体によくありません。日常の心がけ次第で紫外線の悪影響は最小限に抑えることができますので、確実な紫外線対策を心がけてください。

本ページの記事は湧永製薬発行情報誌“大元気 春号”に好評掲載中です。
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