


皮膚は、紫外線や気温の変化、細菌や化学物質など外部の刺激から体を守るバリアの役目を果たしています。しかし、現代の生活環境は乾燥しがちで、多くの人たちは潤いのバリアがしっかりと保たれていないため、皮膚のトラブルをかかえています。
皮膚のかゆみの原因はさまざまですが、皮膚が乾燥すると暑さや寒さの温度刺激、衣服がこすれておこる刺激、化学物質などの刺激や細菌など、外部からの刺激を受けやすく、過敏な状態になっています。すると、ちょっとした刺激でもかゆみを感じるようになります。健康な皮膚の表面はなめらかだとすると、乾燥した皮膚は、細胞の間に隙間ができて、ひび割れている状態です。ひび割れると水分はどんどん蒸発するので、余計に乾燥がひどくなるという悪循環に陥ります。
年齢が上がると、皮膚の老化によって皮脂腺や汗腺の働きも低下し、皮膚の保湿力が失われて乾燥しやすくなります。特に更年期以降は女性ホルモンの低下によって、皮膚が乾燥しやすくなります。しかし、皮膚はいつでも生まれ変わる力をもっているので、気づいたらすぐに対処することでうるおいを保つことができます。遅すぎると思わずに、今からできることを実践してみてください。

かゆみを伴う疾患はさまざまですが、「アトピー性皮膚炎」は遺伝的な素因が多い疾患です。アトピーの方は本来肌のバリア機能が弱いことが多く、かゆみの症状が強くでるのが特徴です。ハウスダストやダニ、花粉などによって引き起こされるアレルギー疾患ですが、皮膚を掻くことで二次的に悪化することもあります。まずは自分の体が何に反応しているかを知るとともに、ともかく保湿を心がけてバリア機能を高めることが大切です。
「じんましん」は、皮膚の一部に赤みを伴うぽつぽつした盛り上がりができ、数分から数時間で消えてしまう病気ですが、激しいかゆみを伴い気道浮腫や呼吸器障害、胃腸障害を起こすことがありますので、症状が激しい時は病院を受診してください。じんましんはアレルギーや物理的な刺激、食べ物が原因となって起こるほか、胃腸や内臓の疲れのサインのこともあります。
皮膚には内面の病気が現れますので、胃腸の調子を整えたり、便秘を改善することで症状が改善される場合があります。まずは、自分の体調をよく観察してみてください。
子どもに多いと思われている「あせも」は、高齢者にも多い疾患です。普段あまり汗をかかない人が春から夏にかけて汗をかくことで、汗腺の出口がつまり起きる炎症です。小さな発疹がでます。
中高年に多い「水虫」は、カビの一種である白癬菌(はくせんきん)が、足の裏などに感染しておこります。この菌は、温度と湿度と栄養の3つがそろうことで発症します。バスマットなどで感染することが多いです。よく乾燥させて、清潔にするように心がけることで菌の繁殖を防ぐことができます。
皮膚の疾患は、症状に合わせて外用薬と内服薬を組み合わせて治療を行います。かゆみは掻くとさらに悪化するので、まずはかゆみをとめて症状を抑え、皮膚の状態を改善するようにします。改善しても皮膚の保湿が重要ですので、治ってもこまめに保湿するように心がけてください。

まずは肌を乾燥させないことが一番大切なので、部屋の湿度を50〜60%に保つようにしてください。毎日たっぷりの石けんで体や顔を洗っている人は、使う量を半分以下に減らすか3倍程度に薄めてみましょう。洗顔は水を使うと乾燥防止に効果的です。石けんは汚れと一緒に必要な油も洗い流すので、入浴後の肌は無防備な状態です。すぐに保湿クリームで肌を保護してください。
効果的なクリームの塗り方は、皮膚の皮膚割線にそって塗ることです。足や腕は縦ではなく横に塗り、背中は家族などに中心から横に流すように塗ってもらうといいでしょう。できればお風呂に保湿クリームを置き、水分が少し残っている状態のときに塗るようにしましょう。
血流がよくなるとかゆみが増すので、入浴は汗を流す程度にし、食事も辛いものや熱いものは避けてください。肌の潤いを保つには、たんぱく質も大切なので、赤みの肉や魚、豆類などを中心に緑黄色野菜を取り入れた食生活を心がけましょう。
習慣はなかなか変えられないものですが、私たちは日常の習慣に基づいて生活をしています。肌に異変が現れたらクリームを買い足すよりも、石けんをやめて、お湯ではなく水で洗うなど、何かをマイナスするのもいい方法です。1の次は2、2の次は3と決めずに、時には順番を変えるなど柔軟に考えてみましょう。当たり前の生活習慣を見直すだけでも肌は変わるので、まずはできるところから始めましょう。

本ページの記事は湧永製薬発行情報誌“大元気 夏号”に好評掲載中です。
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