


ひと口に「不整脈」といっても、拍動が早くなる頻脈性不整脈、拍動が遅くなる除脈性不整脈、拍動のタイミングがずれる期外収縮があります。ただ、不整脈は健康な人にも起こっています。例えば、健康な成人の心拍数は1分間に60〜100回とされていますが、運動した時は心拍数が増えて毎分100回を超えることはよくありますし、寝ていると心拍数が遅くなる人もいます。不整脈がある場合、それが命に危険があるものかどうかという事が重要です。
中高年で多いのは、「動悸がする」「胸が痛いと感じる」「脚がひどくむくむ」などの症状がでる「心房細動」です。一般的に75歳以上の患者さんだと、10人に一人くらいは経験していると思います。
不整脈の種類によって症状は違いますが、拍動が遅くなると体内に十分な血液が流れなくなるので「めまい」「息切れ」「だるい」などの症状が現れ、拍動が早くなると「息が苦しい」「動悸がする」といった症状を感じます。不整脈では、症状が現れる場合と、現れない場合があります。症状の有無にかかわらず、治療が必要な場合もあるので、何か気になる症状がある場合は、不整脈専門医を受診しておくといいでしょう。

不整脈の診断では、まず診察(問診)を行い、そのあと詳しい検査を行います。問診の段階ではどのような場面でどのような症状がでるか、既往歴、使用している薬、日常の過ごし方などを詳しく聞きます。心臓は電気刺激によって拍動を繰り返しているため、心電図検査で刺激系統の異常などを調べます。
また心臓の構造に異常があると不整脈を起こすことがあるので、心臓超音波検査「心エコー」で心臓の様子を画像に映し出し、心臓の構造や動いている様子を観察したり、血流の方向、速度を調べます。
また、脚のつけ根などの静脈から「カテーテル」という細い管を挿入し、心臓まで進めて検査を行う「カテーテルアブレーション」という方法もあります。これは、検査を行うと同時に、原因のある心筋の部位を確認した後、その部位に高周波電流を通電して焼却する治療もかねています。原因を直接焼くので、根治が期待できます。

病気の種類や症状の出方にもよりますが、命に関わる場合は投薬でコントロールします。それでもコントロールできない場合は、「植え込み型除動細動器」を体内に植え込み、心臓が痙攣して止まったら心臓に電気ショックを与えて、本来の拍動になるように調整します。
症状に応じて飲む薬は違いますが、薬物療法では心臓を規則正しいリズムで拍動する状態に戻して、その状態を維持することが目的です。薬を飲むことで症状を出にくくしたり、再発を抑えることが可能です。ただし、薬の飲みあわせには注意が必要なので、服用している薬がある場合は前もって担当医に伝えましょう。
命に関わるような不整脈をもつ患者さんは、心臓の構造や収縮力に問題がある方が多く、そういう患者さんに薬を使うと、逆に死亡率が高まる事もあります。不整脈のタイプや患者さんの状態などさまざまな点を検討して、専門医の指示のもとで治療を始めることが大切です。

患者さんにとって不整脈の症状がつらくない場合は、今まで通りの生活で大丈夫です。ただし、不整脈の症状がある場合は、不整脈を起こしやすい要因を作らないことが大切です。人により要因は違いますが、高血圧の人は塩分を控えめにした食事を心がける、肥満の方は減量を心がけて心臓の負担を減らす、またアルコールがきっかけで不整脈を誘発する場合もあるので、飲酒はほどほどにする、激しい運動は控える、過剰なカフェイン摂取を控える、睡眠不足や過労も注意が必要です。
患者さんのなかには、規則正しい生活を心がけるだけで、症状が改善する方もいます。意外と多いのは、気温や気圧の変化がある季節の変わりめです。自分がどのような時に症状が出るかを把握し、予防していくことが大切です。まずはその動作を控えること。専門医と相談し、自分の体と上手につき合っていくことが大切です。

本ページの記事は湧永製薬発行情報誌“大元気 秋号”に好評掲載中です。
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