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老化はいずれ病気になる?

私たちは誰しも年をとります。白髪やしわ、体力の低下といった「老化」は、これまで自然現象として受け入れざるを得ないものと考えられてきました。しかし近年の研究で、老化に関わる遺伝子やタンパク質についての理解が進み、老化そのものを病気のように治療できる未来が見えてきています。

◆◇加齢と老化◆◇

私たちは誰しも年をとります。これは自然の摂理であって止めることはできず、誰にでも平等に“加齢”は起こります。一方、加齢に伴う筋力や記憶力、肌のハリなどの低下を指す“老化”は平等ではありません。同じ年齢でも老けて見える人もいれば、いつまでも若々しく見える人もいるように、老化のスピードや程度には大きな個人差があります。

この大きな個人差を生じる原因としては生活習慣(食事、運動、睡眠など)、社会的孤立や抑うつ状態といった環境的要因、そして個々人が持っている身体的(遺伝的)要因があり、これらが複雑に影響しあって老化のスピードを左右します。

近年、生命科学の領域ではこの身体的要因についての研究がきわめて盛んに行われており、老化に直接関係する遺伝子やたんぱく質の存在が次々と明らかになっています。 

◆◇若さを守る遺伝子 SIRT-1とクロトー◆◇

老化に関連する遺伝子の代表格のひとつが「サーチュイン(SIRT-1)」と呼ばれる遺伝子です。SIRT-1は、細胞の中でエネルギーの使い方やDNAの修復、炎症の抑制などに関わる働きを持っています。わかりやすく言えば「細胞を若々しく保つ司令塔」のような役割です。動物実験では、SIRT-1を活性化させると寿命が延びたり、生活習慣病の進行が抑えられたりすることが報告されています。1)

もうひとつ注目されているのが「クロトー(Klotho)」遺伝子です。クロトー遺伝子からつくられるタンパク質は、腎臓や血管の働きを守り、リンやカルシウムの代謝を調整する役割を担っています。動物実験ではクロトー遺伝子が失われると急速に老化が進む一方、クロトーを増やすと寿命が延びることが示されています。2),3)

そのため「クロトーは長寿をもたらす遺伝子」として世界的に研究が進められており、ヒトでも血中のクロトー濃度が高い人ほど認知機能や心血管系の健康が保たれやすいことが報告4)されています。

 

◆◇栄養センサーとmTORの働き◆◇

私たちの体には、食べ物から得た栄養やエネルギーの状態を感知し、代謝や細胞の働きを調整する仕組みがいくつも存在します。たとえば「mTOR(エムトール)」は栄養が豊富なときに細胞の成長や増殖を促す一方、栄養が不足すると「オートファジー」と呼ばれる細胞の掃除・修復システム(細胞の整備士)を動かします。

エムトールが過剰に働くと細胞の補修が遅くなって老化が進みやすくなる一方、オートファジーが活発になると寿命延長につながると考えられています。「腹八分目に医者いらず」は江戸時代のことわざですが、満腹まで食べずに少し控えることで、内臓への負担が減り、体内の整備が進むことを 昔の人は経験的に知っていたのかもしれません。

 

◆◇体内の燃料計AMPキナーゼ◆◇

栄養センサーとしてもう一つ注目されているのが「AMPキナーゼ(AMPK)」です。AMPKは、体のエネルギー残量をチェックする“燃料計”のような役割を持ちます。エネルギーが不足するとAMPKが活発になり、脂肪の合成を抑えて効率的なエネルギー利用を促す一方、脂肪の分解や糖の取り込みを高めて細胞を守ります。さらに、AMPKはSIRT-1やmTORとも連携し、代謝バランスを整える中心的な存在です。そのため「AMPKをうまく働かせること」が、老化を遅らせ、健康寿命を延ばす上で極めて重要と考えられています。

 

◆◇老化は治療できる時代へ◆◇

老化に関わる研究が進むことで、「老化はただの自然な過程」ではなく「コントロール可能な現象」つまり疾患の範疇にある状態として捉えられつつあります。たとえば生活習慣の工夫――適度な食事制限や運動、質のよい睡眠は、SIRT-1やクロトー、AMPK、mTORなどの働きに関与し、老化を遅らせることが分かってきています。

また、将来的にはこうした遺伝子やタンパク質のスイッチを直接操作する薬やサプリメントが登場し、老化そのものを「治療」できる時代が来るかもしれません。もし老化が治療の対象となれば、加齢に伴う疾患-糖尿病、心臓病、認知症、骨粗しょう症など-をまとめて予防・改善することが可能になるでしょう。つまり「年をとる=病気になる」という図式を大きく変える可能性があるのです。このような時代が来れば、我々の生活、人生そのものを大きく変えることになります。

◆◇いま私達ができること◆◇

もちろん、老化を完全に止めることは現時点では不可能ですし、いつ実現するのかも不明です。いま私たちができることは、日々の生活習慣に気を配ることです。適度な運動、腹八分目の食事、十分な睡眠がSIRT-1やクロトー、AMPKを活性化し、老化に立ち向かう力となります。毎日を大切に生きてゆきたいですね。

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<参考文献>

1)Cell Metab. 2013 Sep 3;18(3):416–430.

2)Proc Natl Acad Sci U S A. 2005;102(5):1440-5.

3)2017;63(4):320-31.

4)Cell Reports 2014 May 22;7(4):1065–1076

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