肥満症
最近、肥満症は世界的な健康課題として注目を集めています。特に、日本でも肥満症治療薬が市販され、医師の処方なしで購入できるようになったことが話題となっています。この背景には、肥満症が単なる体重増加ではなく、健康寿命を左右する重要な要因であることが挙げられます。
◆◇肥満症の見極め方?1-3)◆◇
☆肥満 ⇒体重が多い状態で、BMI※1が25以上。
☆肥満症⇒肥満でさらに減量や治療が必要な病気がある状態※2、または内臓脂肪の蓄積※3がある。
☆メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)⇒「肥満」である、ないに関わらず、内臓脂肪の蓄積および、血圧、血糖値、血清脂質値のうち 2つ以上が基準値から外れている。
※1 BMI(体格指数)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
※2 高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風・高尿酸血症、肥満に関連する腎臓病、脳梗塞、狭心症・心筋梗塞、関節の障害、非アルコール性脂肪性肝疾患、睡眠時無呼吸症候群、月経異常・不妊の疾患・症状のいずれかに当てはまる。
※3 へその高さの腹囲が、男性85cm以上、女性90cm以上
◆◇肥満症の減量目標1⁻3),5)◆◇
3~6か月間で体重の3%の減量が目標です。十分な効果が出るまで続け、健康的な体重を維持しましょう。
◆◇肥満症の治療:減量治療の基本?1₋6)◆◇
☆食事療法☆
・ 減量には摂取エネルギー量の制限が最も有効です。
・塩味が食欲を増すため、洋食よりも出汁などを使った和食を食べましょう。
・食事回数が少ないと太りやすいと言われています。3食きちんと食べましょう。その際は、栄養のバランスに気をつけて。
・カロリーを減らすには、揚げ物や炒め物よりも、蒸し物や煮ものなどがおすすめ。
・食べる順番にも一工夫。野菜から先に食べましょう。食物繊維は、消化や吸収を緩やかにします。
☆運動療法☆
・ 肥満症関連の病気のリスクを低下させます。
・ 歩数計や携帯のアプリなどを利用して1日の歩数を計り歩く機会を増やすと、エネルギー消費量が増えます。
・朝や夕方以降の涼しい時間帯を選び、積極的に体を動かしましょう。
・ウォーキングや階段の上り下り、いすに座ってテレビを見ながらの太ももの上げ下げなど、日常生活で取り入れやすいものが毎日続けやすいでしょう。
☆行動療法☆
日常生活を振り返り、体重増加となる行動を修正し、病気の症状を改善する方法です。
① 「食行動質問表」は、食行動修正の目安となります。
② 「グラフ化体重日記」は、見える化で減量効果を実感、さらに減量効果が高まります。
③ 「咀嚼法」では、噛むことにより唾液が出て消化吸収を助けます。また、満腹感覚の改善による食事量の減少などが期待できます。「30回咀嚼法」がよく用いられ、一口の噛む回数を30回と決めて、30回は〇、29回や31回は×とします。30回になるように一口の分量を調節します。30回噛むには、右で5回⇒左で5回⇒この動作をもう一度繰り返し⇒両側の歯で10回噛むという方法をやってみましょう。
◎食事や運動など生活習慣に関してご心配のある方は、お近くの薬局・薬店の専門家へご相談ください。
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(参考)
1) 今日の健康2025年2月号 / NHK出版
4) 健康づくりかわら版「夏の不思議現象?~夏は太りやすいってホント?~」
5) 肥満症診療ガイドライン2022第5章 肥満症の治療と管理
6) 健康づくりかわら版「食べ過ぎ・飲み過ぎ対策どうしてる?」