かゆい!痛い!帯状疱疹
帯状疱疹は「80歳までに3人に1人が発症する」と言われている病気です。加齢などによる免疫機能の低下が発症のきっかけとなるため、高齢化により帯状疱疹もさらに増えると予想されます。
今年から予防接種が定期接種となりました。この機会に、帯状疱疹について学びなおしましょう。
◆◇肌帯状疱疹とはどのような病気?1-3)◆◇
帯状疱疹の原因は水ぼうそうと同じ水痘ウイルスです。多くの人は子供のころに水ぼうそうにかかっていますが、水ぼうそうは治ってもウイルスは完全に死滅しておらず、長い間神経節に潜んでいます。普段は身体の免疫の働きで抑えられていますが、加齢や疲れ、ストレスなどで免疫機能が低下すると、ウイルスが再び増え始め、帯状疱疹を発症します。宮崎県で行われた調査では、1997年から2017年までの21年間で60歳以上の帯状疱疹の発症率が約1.5倍増加していると報告されました。また、最近では20~40代の若い人の発症も徐々に増えており、年代にかかわらず気をつけたい病気です。
水ぼうそうは発疹が全身にできるのに対し、帯状疱疹は神経に沿って体の一部、特に胸や腹部、背中に多く見られます。初めは、体の一部にかゆみや皮膚の違和感があり、徐々に強い痛みになります。「ズキズキ」「ヒリヒリ」「針が突き刺さったよう」「ズーンと響く痛み」など、人により症状はさまざまです。一週間ほどすると痛みを生じた場所に赤い発疹が帯状に広がり、さらに進行すると黒っぽい水ぶくれになります。重症化すると皮膚がただれ、痕が残ることがあります。顔や耳から首にかけて症状が出ると、外見上の問題や、難聴、顔面の麻痺が起こることがあります。また、60歳以上の場合は、皮膚症状が消えたあとも激しい痛みが続き、神経痛が残ることもあります。
帯状疱疹は治療が遅れると重症化のリスクが高まります。そのため、症状が出てから早めに治療を開始することが大切です。抗ウイルス薬の服用が治療の中心となり、そのほか、痛みの種類や程度に応じてさまざまな薬が使われます。
◆◇帯状疱疹は予防接種によって防げる可能性があります4)◆◇
帯状疱疹の発症を防ぐワクチンがあります。50歳以上が接種の対象となり、生ワクチンと組み換えワクチンの2種類から選択できます。接種後1年で生ワクチンで60%、組み換えワクチンで約90%と高い予防効果も報告されています。
2025年4月からは、帯状疱疹予防接種が定期接種の対象となりました。65歳以上の対象の方は費用の一部が公費で助成されます。
◆◇日頃からできることは?5)◆◇
免疫機能を低下させないためには、日々疲れのない、元気な状態でいることが大切です。そのための適切な生活習慣に取り組んでいきましょう。
☆食事:適切な腸内環境は免疫機能を保つために役立ちます。腸内細菌のバランスを整えることが病原菌による感染の予防となります。野菜、果物に含まれるオリゴ糖や、きのこなどの食物繊維を積極的に摂取しましょう。
☆睡眠:質の良い睡眠は免疫細胞の成長や疲労回復につながります。できるだけ同じ時間に就寝・起床する、寝る前に携帯電話などの強い光を浴びないなど、体内時計を整え、睡眠の質を上げましょう。
☆運動:適度な運動はストレス解消につながります。軽いストレッチや散歩など、無理のない範囲で日々体を動かしましょう。
元気を保つための生活習慣は帯状疱疹だけでなく様々な病気の予防につながります。自分が意識すべき生活習慣が気になる場合は、お近くの薬店・薬局の専門家に相談してみましょう。
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(参考)
1) 池上晴之,NHKきょうの健康大百科, NHK出版,2010,P326-328
2) 蒲原毅,早めに対処 帯状疱,NHK きょうの健康,NHK出版,2015/5,P66-69