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トーク・マイ・セルフプリベンション
作家・マルチクリエイター いとうせいこう

信頼できるドクターとの出会いで心にゆとりを

作家・マルチクリエイター いとうせいこう 俳優、小説家、作詞家、お笑いタレント、演出家などマルチクリエイターとして活躍するいとうせいこうさん。本誌にご登場いただくのは2回目ですが、当時と今、健康に対しての意識に変化はありましたか。
「年齢を重ねた分、自分の身体を客観視できるようになりました。ちょっとした体調の変化がわかるようになったので、早めに対処するようになりましたね。大きな変化は夜型から朝型になったこと。 22時以降は仕事もせず、さっさと寝るんです。そして朝早く目が覚める。年齢なんでしょうね(笑)」
 そして、いとうさんは大の滋養強壮剤ファンとしても知られています。
「僕の滋養強壮剤熱は有名ですよね(笑)。飲みだして、かれこれ 15年の付き合いになります」
 信頼できるドクターにも出会い、今年2月に主治医でもある精神科医・星野概念さんとの対談本を出版。普段は患者として通ういとうさんと星野さんが精神医療の現場の話を語っています。
「僕自身、星野くんのところに通うようになって、すごく気がラクになったんです。日本は精神科に通っているというと、変な目で見られがち。でも内科や耳鼻科に行くのと同じで、悩んだら精神科でいいじゃないかと」
 いとうさんは月に一度、星野さんの元に通い、いろいろな話をします。
「カウンセリングに行くと、イライラの原因は何だろうと図を書いて整理します。自分の感情を第三者目線で見ると、原因がはっきりして気分がすっきりするんです。謎が解けた!って」
 何か嫌なことがあっても、星野くんがいるから大丈夫と思えるといういとうさん。
「そういう人がいるだけで、心にゆとりが生まれます」。

人との出会いは宝 どう生かすかは自分次第

作家・マルチクリエイター いとうせいこう 多くの顔をもついとうさんですが、実は50代後半には仕事のジャンルを絞って活動しようと考えていたそうです。
「結局、絞れなくて今に至るんですが(笑)、忙しいからやめようではなく、どうしたらできるかを考えようという方向に切り替わりました」
 なんでも自分でやるのではなく、任せられるところは人に任せて進めていく。
「この年齢になると、人との縁とかつながりがとても重要だなと思います。新しいことをやりたいと思ったら、不思議とできる人と知り合うんです」
 その縁で知り合ったのが、いとうさんの謡の師匠でもある能楽師の安田登さん。数年前から謡を学びたいと思い、習うのなら安田さんだと心に決めていたそうです。
「弟子を取らない安田さんが、数名だけ教えると聞いて、飛びつきました(笑)。月に2度、朝8時から正座をして、謡う。建築家や編集者など、様々な分野の方が集まっていて、そこでの話がとても面白いんです」
 オンとオフを生活の中に組み込み、常にベストな状態で仕事ができるようコントロール。そこで面白いのが、オフの日の過ごし方。スケジュールにオフと書いてあるのは、モノを書く日で、いとうさんはその日を“書きオフ”と名付けています。
「休みじゃないよね(笑)。僕もオフなのに、なぜ小説を書いているんだろうと、考えたことがあります。結局、小説を書くことが好きだし、楽しいんです。書くことは僕の強みでもある。趣味みたいなものだから、オフなんです」
 書きたいことがあるのに、書く時間が取れない状態が一番ストレスになると自己分析。いつも、この書く前の状態が一番もやもやしているんですよねと続けます。
「音楽をやって、趣味のベランダ菜園をやって、ちょっと小説を書く。それが自分のベストなバランスだと、この年になってわかるようになりました」

目標はちゃんとした おじいちゃんになること

作家・マルチクリエイター いとうせいこう 年々、年を重ねることが楽しくなってきたといいます。
「昔は若い人が有利でシニアは引退するという社会の仕組みがあったけれど、今は未来のことがわからない時代です。若い人からお年寄りまで、どの世代が頑張ってもいい。誰にでもチャンスがあるってすごい時代だと思います」
 だからこそ、年齢に関係なく、興味があったら、面白いことを見つけたら、首を突っ込んでみたほうがいいですよとメッセージを送ります。シニアは経験という強みがあるんだからそれを最大限生かしてほしいといいます。
「落語でいう“フラ”です。その人にしか出せない味や面白さを、全面に出したほうがいいです。若い頃、その独特の雰囲気がほしかったんですよね」
 今はその雰囲気をまとい、現場では一目置かれる存在になったいとうさん。自身が作った曲「ヒップホップの経年変化」でも、そのことに触れています。
「経年変化すると、表現も進化していく。ワインと同じで、年数がたつと出せない味が出せるようになる。すごいことですよ。年を重ねないと出せないものだから、若い人には絶対に無理なんです」
 いとうさんの目標は、ちゃんとしたおじいちゃんになること。“ちゃんとした”とは、どういう意味なのでしょうか。
「信念を曲げないこと。自分が正しいと思う信念を持ち続けている人は、強いです。その強さに人は惹かれますから。頑固とは違うので、そこが難しい部分ではありますけど(笑)」

自分にしかできないこと その信念を貫きたい

これからの目標について伺うと
「仕事柄、自分が正しいと思っていることを、わかりやすい表現で伝えていくことを大切にしています。これからもいろいろなことをやると思いますが、その信念だけは曲げずに行きたいです」
 今は情報があふれ、メディアも日々変化している。その中で何が将来必要なのか、何が残るべきなのかを考えながら進んでいきたいと語ります。
「数年前から被災地で話を聞いたり、世界各地に国境なき医師団の活動を見に行くという活動をしています。そこでの僕は聞き役です。ひたすら話を聞くのですが、それがすごく重要なことだと気づいたので、もう少し活動の幅を広げたいと思っています」
 音楽で、小説で、トークで。表現の形は変わっても、いとうせいこうさんにしかできないことを、いとうさんらしく行う。今後のご活躍、期待しています。

作家・マルチクリエイター いとうせいこう

GOROes by my self

1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。『ボタニカル・ライフ ―植物生活―』で第15回講談社エッセイ賞受賞。その後も小説、ルポルタージュ、エッセイなど、数多くの著書を発表する。

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