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トーク・マイ・セルフプリベンション
鈴木 大地

それもまた人生、前向きに次のステージへ

1988年のソウル五輪男子100m背泳ぎ競技で金メダルを獲得するなど世界トップスイマーとして活躍し、現役引退後は、水泳界だけでなく日本のスポーツの発展に尽力されてきた鈴木大地さん。昨年9月まで5年にわたりスポーツ庁初代長官を務められたのは、 記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
「日本のスポーツ行政を推進するという、やりがいのある仕事でした。2期4年務める予定でしたが、2020年のオリンピック・パラリンピックが終わるまでもう1年続投することに。しかし、オリンピックは延期になり残念な思いはありましたが、 それもまた人生と思い、受け入れました」
 大役に一区切りついたという鈴木さん。退任後は、母校・順天堂大学教授として邁進しているそうです。
「大学では、地域の空き地を有効活用したスポーツ振興プロジェクトなどを進めています。これまで大学では、学生の指導を一番に考えていたのですが、自治体や地域住民と連携して地域が元気になるようなプロジェクトに携わるのも面白いです。私にとっては新しい挑戦ですね」

日本のスポーツ界に恩返しがしたい

 何ごとも明るく元気に、をモットーとするという鈴木さんですが、 25 歳で現役引退後は、将来の道を模索する日々が続いたといいます。
「選手時代は毎日が生きるか死ぬかくらいのエキサイティングな世界にいたので、社会人になってからは選手の時ほどの緊張感が持てなくて、正直、物足りなさもありました。 それでも、その時与えられた環境でベストを尽くしてきたら、さまざまな人との出会いもあり、自分の道が拓けていきました」
 31 歳で日本オリンピック委員会(JOC)の在外研修制度でハーバード大学にコーチ留学を果たし、帰国後は順天堂大学水泳部監督に就任します。
「国のプログラムで留学したこともあり、帰国後は、日本のスポーツ界に恩返ししたいという気持ちが生まれました。自分だけのために生きるのもいいですが、誰かの役に立つ生き方がしたいと思うようになったのです」
 それからは、日本水泳連盟会長などの要職に就き、日本のスポーツの発展に努めました。スポーツ庁長官になってからは、受けた恩を社会に還元したい、という思いが一層強くなったといいます。
「アスリート強化に、国の予算を使っていますからね。現在、陸上男子ハンマー投げ五輪金メダリストの室伏広治くんがスポーツ庁長官を務めていますが、皆のために尽力するスポーツ庁長官の仕事がアスリートの憧れになったらいいね、と二人で話をしたこともありました」

水泳は、人間にとって必要なスキル

 ドラマチックな人生を歩まれてきた鈴木さんですが、人生の転機はいつだったのでしょう。
「人生が激変したのは、金メダルを獲った時ではなく、高校時代に日本記録をマークして日本一になった時だと思います。それまで水泳は漠然とやっていたのですが、コーチに『もうちょっと頑張れば、オリンピックも夢じゃないぞ』と言われ、初めて本気になりました。日本一を獲ることは山の頂上を目指す作業。 一度山の登り方を習得すると、あとは、違う山を登るだけです。金メダルはその流れで獲れたものです」
 現在は多くの人が水泳に親しんでいますが、水泳の魅力とは。
「オリンピックの人気競技であるだけでなく、人間が生きていく上で必要なスキルだと思います。泳げないと命に関わることもあるでしょう。だから、世界中の子供たちが泳げるようになることが大きな目標なのですが、 世界には飲み水にも困っている国があるのが実状です。そういった社会課題に対して自分にできることを考えていきたいです」
 さらに、水泳は健康増進にも役立つ、これは鈴木さんが長年取り組んでいる研究テーマの一つでもあるそうです。
「水中に入ると、水圧がかかるので血行がよくなります。それと、スイミングクラブのプールの温度は 30℃くらいで体温より低いのですが、 人間には体外の環境が変化しても体内の環境を一定に保とうとするホメオスタシス(生体恒常性)があるので、体温を保とうと熱を出し、体の新陳代謝が活発になるのです」
 スイマーは若々しく肌がきれいと言われるのは、そのような体の仕組みが影響しているのでは、と鈴木さん。プールの中を歩くだけでも十分運動になると教えてくれました。
 2020年のオリンピック・パラリンピックは延期になってしまいましたが、注目している競技はありますか。
「新しくオリンピック種目になった空手、サーフィンは楽しみですね。応援していると、日本に生まれてよかったと思える瞬間がたくさんある、団体競技にも注目しています」

新しいことを始めていろんな楽しみを見つけて

 気になる鈴木さんの健康法。日ごろの体調管理はどうされているのでしょうか。
「ジムに行ったり、在宅時もダンベルをやったりと、よく体を動かすようにしています。もちろん、泳ぐこともあります。食事は、カロリーの摂取と消費のバランスが崩れないように気をつけています。 でも、カロリーを抑えてばかりだとストレスが溜まるので、たまに好きなだけ飲んで食べることも。数年前からは、毎朝野菜ジュースを作って家族で飲んでいます」
 キヨーレオピンはご存じでしたか。
「まさにこれから飲み始めるところです。自分の体がどんなふうに変化するのか……とても楽しみにしています」
 プライベートの過ごし方も教えてください。
「読書、映画鑑賞、ゴルフ、いろいろやっています。面白いところでいうと、三味線でしょうか。子供が三味線を習っているので、その様子を見て独学で弾いています。 まだ『さくらさくら』しか弾けませんけど(笑)、いい息抜きですね」
 時折、おちゃめな一面も見せてくれる鈴木さん。これからの目標を尋ねると、真剣なまなざしでこう答えてくれました。
「水泳の世界的普及は大きな目標です。後進の育成にも取り組みたいですね。これまでもそうであったように、今の環境でベストを尽くせば、次にやるべきことが見えてくると思っています」
 読者の皆様へメッセージをお願いします。
「近所を散歩するだけでも運動になると思いますし、最近は、囲碁や将棋も頭脳を使うスポーツと言われるようになりました。新しいことを始めると仲間もできて、生きがいにもつながります。 ぜひいろんな楽しみを見つけて、世界を広げて、毎日を健やかにお過ごしください」
 座右の銘は、「挑戦」。常に目標に向かって努力を重ねるその姿は、これからも、私たちに勇気や元気を与えてくれることでしょう。今後のご活躍、期待しています。

1967年千葉県生まれ。88年ソウル五輪男子100m背泳ぎで日本競泳界16年ぶりの金メダルを獲得。順天堂大学大学院修了。2013年同大学教授、日本水泳連盟会長に就任。15年10月より20年9月までスポーツ庁初代長官。順天堂大学教授、フジテレビ「めざまし8」にて水曜日コメンテーターとして出演中

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