健康寿命を延ばすカギは"足"
足が大事な理由は2つあります。ひとつは、足が身体の土台であることです。身体の中で最も体重がかかる足が不安定だと、建物の土台が崩れるように全身へ悪影響が広がります。もうひとつは、歩くときに唯一地面に触れる接点が足であること。動きのスタート地点となる足がうまく働かないと、全身の動きに影響してしまいます。
実際に、足腰の痛みなどの筋骨格系疾患は要介護の原因の約3分の1を占め、健康寿命を縮める大きな要因とされています。足のトラブルは身体をゆがめ、ゆがみは痛みを生み、痛みは骨の変形や筋肉の衰えにつながり、やがて歩けなくなることもあるのです。
だからこそ"足活"を
足活は、足元から全身を整えるための習慣です。建物がしっかりした土台の上に建てられているように、足活を続けることで長く歩ける強い足腰をつくることができます。オーストラリアの研究では、足の専門医の指導のもと、適切なインソールや靴を活用した高齢者は、転倒が 36%、骨折が 85%も減ったと報告されています。100歳まで歩ける足をつくることは、自分らしい人生を歩むことにつながります。まずはその第一歩として、今日からできる足活を始めましょう。

60歳以上なら8000歩を目標に
健康を維持するための歩数の目安は、60歳未満で1日1万歩、 60歳以上なら8000歩といわれています。ただし数字にとらわれず、歩けるときはできるだけ歩くことが大切です。歩いた分だけ足腰の筋力が鍛えられ、さらに心身にさまざまな健康効果が期待できます。
一方で、ふらつきや転びやすさがある方、変形性関節症などの筋骨格系の病気を抱えている方、姿勢を保つのが難しい方、肥満度が高い方などは無理は禁物です。
その場合は、関節に負担をかけにくいプールでのウォーキングや、ポールを使ったウォーキングなどから始めると安心です。
足をいたわりながら少しずつ歩数を増やし、ストレッチや正しい靴選びを取り入れることで、100歳まで歩ける足を育てていきましょう。




今回お話を伺ったのは
岡部大地 先生
ジャパンヘルスケア代表取締役医師・医学博士/都立広尾病院足の総合診療外来担当医


