老化のスピードを遅らせる 生活習慣
老化が進行するメカニズム
私たちの体が年齢とともに老化していくのには、いくつかの大きな原因があります。
まず一つは「酸化」です。呼吸などで自然に発生する活性酸素が増えすぎると、体を内側から〝さび〞つかせ、細胞を傷つけてしまいます。これがシワやシミ、病気のもとになります。
もう一つは「糖化」です。甘いものや炭水化物をとりすぎると、体の中で余った糖がたんぱく質と結びつき、〝こげ〞のような老化物質(AGEs)を作ります。これが肌のハリを失わせたり、血管をもろくしたりします。
さらに、外からの影響としては「紫外線」があります。紫外線は〝光老化〞と呼ばれ、シミやシワを作る大きな原因です。喫煙も老化を早める要因のひとつで、血管や肌を傷つけ、顔色をくすませてしまいます。
また、「ストレス」も無視できません。強いストレスや不安が続くとホルモンバランスが崩れ、免疫力が下がり、老化のスピードは加速します。老化のスピードを遅らせるためには、どのような工夫をすればいいのでしょうか。
老化を遅らせる生活習慣
老化は誰にでも起こる自然な現象ですが、そのスピードは日々の生活習慣によって大きく変わります。
まず大切なのは十分な睡眠です。眠っている間に体は細胞を修復し、ホルモンバランスを整えています。特に深い眠りの時間に分泌される成長ホルモンは、肌や筋肉の修復に欠かせません。睡眠不足が続くと、酸化や糖化の影響を強く受け、肌荒れや疲れやすさにつながってしまいます。
睡眠の工夫例
• 夜はできれば 23時までに就寝する
• 就寝前1時間はスマホやパソコンを見ない
• 寝室は暗く、静かで快適な温度に整える
次に欠かせないのが適度な運動です。ウォーキングやストレッチなど軽めの運動でも血流がよくなり、細胞に酸素や栄養を届けやすくなります。また、筋肉を保つことで基礎代謝が上がり、冷えやむくみの改善にもつながります。
運動の工夫例
• エレベーターではなく階段を使う
• 1日 20〜30分のウォーキングを取り入れる
• 週に3日程度、朝や寝る前に軽いストレッチをする
そしてバランスのとれた食事も非常に重要です。糖分や脂質をとりすぎると体の酸化や糖化が進むため、野菜や魚、豆類、発酵食品を中心にした食事が望ましいです。特に、青魚に含まれるオメガ3脂肪酸や、大豆のイソフラボンなどは血管やホルモンの働きを整えてくれます。
食事の工夫例
主食・主菜・副菜をそろえた食事を意識する
• 間食はスナック菓子よりナッツや果物を選ぶ
• 1日1回は両手のひらにのるくらいの量の野菜をたっぷり使った料理を取り入れる
さらに注目したいのが、体を〝さび〞つかせる原因となる活性酸素から守ってくれる抗酸化栄養素です。ビタミンC(柑橘類やキウイ、ブロッコリー)、ビタミンE(ナッツやアボカド)、ポリフェノール(緑茶や赤ワイン、ブルーベリー)、カロテノイド(トマトやにんじん、ほうれん草)といった成分を含む食品は、老化のスピードを遅らせる頼もしい味方になります。
食品の工夫例
• 朝食にフルーツを添える
• おやつ代わりに果物やナッツを少量とる
• 夕食にトマトやにんじんを使ったサラダを加える
このように、睡眠・運動・食事という生活の基本を整え、抗酸化栄養素を意識的に取り入れることが、体の中から若さを保つための大切なカギです。特別なことをしなくても、毎日の小さな積み重ねが未来の健康と美しさをつくっていきます。
今からできること
例えば、朝の光を浴びてしっかり朝食をとることで体内時計がリセットされ、夜の眠りが深くなり、細胞の修復がスムーズになります。階段を使ったり、家事の合間にストレッチを取り入れたりするだけでも血流がよくなり、体のエネルギー代謝が高まります。
また、間食をチョコやスナック菓子からナッツや果物に置き変えるだけで、抗酸化成分を自然に取り入れられます。さらに、こまめに水分をとり、深呼吸や短い休憩を意識することで、体も心もリフレッシュでき、ストレスによる老化の加速を防ぐことができます。
こうした工夫はどれも難しいことではなく、今日から少しずつ取り入れられるものばかりです。できることから始めて、若々しく健やかな毎日を育んでいきましょう。
今回お答えいただくのは
田邉 真帆 先生
総合内科専門医・日本骨粗鬆症医学会認定医・日本抗加齢医学会所属


