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脂肪は敵?味方?

「脂肪」は“メタボや肥満の原因”、無条件で健康に良くないものと考えがちです。実は脂肪には健康にプラスの影響とマイナスの影響、どちらの働きもあります。脂肪のことをもう少しだけ詳しく知ってみませんか。

◆◇脂肪は減らすべきもの?◆◇

「脂肪」と聞くと、体重増加や肥満、生活習慣病を思い浮かべ、「できるだけ減らしたいもの」と考える人は少なくありません。しかし、脂肪は本当に私たちの敵なのでしょうか。 実は、脂肪は生命を維持するために欠かせない存在です。 私たちの身体は、食事から得た糖や脂質を生命活動のエネルギーとして利用します。そして、使い切れなかったエネルギーは、主として中性脂肪(トリグリセリド)の形にして脂肪組織に蓄えます。食べ物が十分に得られないときには、そこから脂肪を取り出してエネルギーとして利用します。つまり脂肪組織は、いわば「身体に備え付けられたエネルギー貯蔵庫」。飢餓や食料不足に備える、生命にとって極めて重要な仕組みなのです。

◆◇脂肪には白と褐色がある◆◇

脂肪組織には、大きく分けて白色脂肪組織と褐色脂肪組織があります。白色脂肪組織は、余ったエネルギーを蓄えることが主な役割。多くの方がイメージする「脂肪」です。一方、褐色脂肪組織は脂肪を燃焼して熱を生み出す「エネルギー消費型」の脂肪です。褐色脂肪は若い時期に比較的多く、加齢や過剰な栄養摂取などによって、その量や働きが低下することが知られています。つまり、脂肪には「蓄える脂肪」と「燃やす脂肪」があるのです。

◆◇白色脂肪は、どこにあるかが重要◆◇

白色脂肪組織は、主に「皮下脂肪」「内臓脂肪」「異所性脂肪」に分けて考えることができます。

皮下脂肪は、皮膚の下に蓄えられる“正常な”脂肪です。お腹や太もも、お尻などにつくため、見た目の上では「邪魔な脂肪」と思われがちです。しかし、皮下脂肪は決して単なる余分な組織ではありません。余剰エネルギーを安全に蓄える「貯蔵庫」であると同時に、さまざまな生理活性物質(善玉ホルモン)を分泌する、れっきとした内分泌器官つまり内臓でもあります。体温を保ったり、衝撃から身体を守ったりする役割もあります。

皮下脂肪が蓄えられる脂肪の量には限りがあり、蓄えきれない量のエネルギーを摂取すると、不健康な脂肪である内臓脂肪が形成されることになります。内臓脂肪はお腹の中の内臓周囲に蓄積します。いわゆるメタボの指標になる脂肪で、過剰になると、善玉ホルモンが減って悪玉ホルモンを増やす結果、代謝や炎症に関係するさまざまなバランスが崩れ、糖尿病や動脈硬化などのリスク上昇につながります。メタボに注意する必要があるのは、完治が困難な生活習慣病発症のリスクを高めてしまうからです。

さらに注意したいのが「異所性脂肪」です。これは、本来大量の脂肪を蓄える場所ではない臓器や組織に脂肪が蓄積する状態です。肝臓、骨格筋、心臓周囲などへの脂肪蓄積がその代表例です。こうした脂肪は、単に「脂肪が多い」というだけでなく、臓器本来の働きを妨げる可能性があり、内臓脂肪による疾患発症リスクを更に高めてしまいます。つまり、問題なのは「脂肪があること」そのものではなく、どこに、どのように脂肪が蓄えられているかなのです。

◆◇「脂肪をなくす」より「脂肪を健康に保つ」◆◇

元気な脂肪を維持し、不健康な脂肪を増やさないためには、どうすればよいのでしょうか。 

第一に大切なのは、糖質や脂質を含めた総エネルギー摂取量を適切に管理することです。必要以上のエネルギーを摂り続ければ、脂肪組織に蓄えられるエネルギーも増えていきます。

第二は、十分で規則正しい睡眠です。睡眠不足は食欲を調節するホルモンや脳の働きに影響し、食べ過ぎや高カロリー食品への欲求を強めることがあります。「意志の力で食べる量を減らす」だけでなく、十分な睡眠によって過剰な食欲を抑えることも重要です。

そして第三が、身体を動かすこと。運動や日常的な身体活動は、エネルギーを消費するだけではありません。内臓脂肪の減少や糖尿病リスクの低減など、脂肪組織や全身の代謝環境を良好に保つことにもつながります。

目指したいのは、「脂肪ゼロ」の身体ではありません。必要なエネルギーを蓄え、必要なときには使える、健康な脂肪組織を維持すること。そのためには、食べ過ぎない、よく眠る、そして日々こまめに身体を動かす。脂肪は、敵ではありません。「どこに蓄えられているか」「どのような状態にあるか」が大切なのです。余分な内臓脂肪や異所性脂肪を増やさず、身体を守る皮下脂肪を含め、脂肪組織を「元気な状態」に保つ――。それが、長く元気に過ごすための一つの鍵なのです。

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