NAD+シリーズ5 NAD+研究が教えてくれるからだのヒント
老化の仕組みが少しずつ明らかになってきています。細胞の働きを支えるNAD+に関する理解も進み、健康寿命を延ばすためのヒントが少しずつ見えてきています。
◆◇最近の研究でNAD+が注目されています!◆◇
これまでご紹介してきたように、NAD+は細胞が元気に働くために欠かせない存在です。NAD+は年齢ととともに減り、それに伴い疲れやすさ、代謝の低下、筋力の衰えといった変化を感じやすくなります。1) こうしたことから、NAD+は健康長寿に関わる重要な物質として研究がすすめられています。
◆◇NAD+を増やす酵素は脂肪から出ている⁉◆◇
私たちの体の中には、脳・脂肪・筋肉が情報をやり取りしながら、加齢による体の変化に関わるシステムがあります。この連携を支えているのがNAD+です。NAD+をつくるために必要な酵素は、なんと脂肪細胞からも出ていて、血液に乗って身体のいろいろな場所へ運ばれます。1)-3) 細胞の元気を支えるNAD+を作る働きに関わるこの酵素は若さを支える酵素とも考えられています。2)3)
◆◇NAD+がつなぐ体のネットワークシステムの最近分かってきたこと◆◇
最近の研究では、この酵素が脳に届いてNAD+が増えると、まるで脳が筋肉へ「しっかり動こう!」という合図を送ったかのように筋肉は筋力が保たれ、元気に動ける状態につながる可能性があると考えられています。こうした脳とNAD+と全身の運動機能との関連が近年注目されています。1)-3)
脂肪というと「余計なもの」と思われがちですが、実は体の若々しさを保つためにとても大切な働きもしているのです。脂肪はただの蓄えではなく、健康を支える心強いパートナーなのです。
◆◇加齢による変化をゆるやかにするためにできること◆◇
加齢による変化そのものを止めることはできませんが、日々の習慣でその変化をできるだけゆるやかに保つ工夫はできます。NAD+の研究では嫌われ者の脂肪が、体にとって若々しさを保つための一助となることを教えてくれました。2)3) 太りすぎは別の健康リスクにつながりますが、適度な脂肪を維持することが必要です。
まずはきちんと栄養を受け取れるように、胃腸に負担をかけないようによく噛んで食べること、規則正しい生活や適度な運動、疲れのケアなどで体調を整え内臓を元気にしましょう。このような生活習慣が体の自然な調整力を支える一つの方法となります。
◆NAD+の研究はこれからがもっと楽しみ◆◇
NAD+に関する研究は今まさに進んでいる最中で、これから更に新しい発見が期待されています。「どうすれば元気に長く過ごせるのか」その答えの一つが、このNAD+を中心とした体の仕組みの中に隠れているかもしれません。食生活、運動や睡眠など毎日の小さな生活習慣の積み重ねが、未来の自分のための大きな一歩になります。
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<参考文献>
1)吉岡潔志、今井眞一郎.eNAMPTが制御するNAD+代謝と抗老化介入としての運動療法の新たな価値.基礎理学療法学2023:26(1):60-65
2) 血液中を巡っているNAD合成系酵素eNAMPTが、哺乳類の老化と寿命を制御していることを解明―新しい抗老化方法論の開発に期待― | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構





